〇刺身が食べたい
僕の場合週に1回は魚(特に生食)を食べています。魚釣りに行かないときでも、スーパーでマグロかサーモンの刺身を買って食べています。
釣り人あるあるではないのですが、それくらい魚が好きでないと釣りバカにはならないのでしょう。
そんな中、自分で釣った魚をその日中に捌いて食べる魚の刺身は、釣りたてのぷりぷりと歯応えがあり、大変美味です。
そんなこんなで、この日それも1,2時間ほど前に、高砂港で釣ってきたてのチヌを刺身にして、美味しくいただくため、捌いていきます。
ちなみに今回は35cmのチヌ1匹なので、身を刺身、頭&カマを塩焼きにしていきます。
〇チヌの捌き方の紹介
過去記事ではあまり詳しく魚を捌いている様子を紹介していませんでした。
なので、今回の記事ではチヌの捌き方を中心に、詳しく書いていこうと思います。
ちなみに、詳しく説明をしたら、かなり長い文章になってしまいましたので、本記事は前編と後編の2回に分けてUPします。
〇動画の紹介
YOUTUBEでも今回のチヌを捌く動画を上げています。
最初に動画を見てから、下の説明を読んでもらえると、より理解が深まると思います。
〇チヌの下処理
・うろこ取り
うろこを取ります。このように水を掛けながらすると、あまりうろこが飛び散らないでいい感じです。
ちなみに、僕が使っているうろこ取りはお皿を反対に向けたような形のうろこ取りです。
このうろこ取りだと、バリバリとひっかいて取るタイプとは違い、ズルっとうろこがむける感じで取れるので、本当に飛び散らず、重宝しています。
また、1掻きでズルっと多くのうろこが取れるので、うろこ取りの時間をだいぶ短縮できます。
がまかつ(Gamakatsu) 鱗取り うろこ取り GM-1314
・表面のぬめり取り
次に出刃包丁で体表面をしごいていきます。この工程の目的は、取り残したうろこの除去と、表面上の魚のぬめり取りです。
このぬめりが魚特有の臭いがしますので、きっちり包丁でしごいて取ってあげることで、臭いのしない、美味しい刺身を作ることができます。
なので、尻尾やヒレ、頭など、すべての部位をしごき、ぬめりを全て取ってあげることが大事です。
・エラ&内臓取り
表面下処理が終わったら、エラと内臓を取っていきます。
エラに沿って包丁を入れ、背骨とエラが付着しているところをそぎ切ります。この時、エラはまだ取り除きません。上手に包丁を入れると、内臓を引っ張り出すときに、エラも一緒に取れるからです。
お腹に包丁で切れ込みを入れます。この時包丁の刃を立てるのではなく、寝かせてお腹の皮一枚を切ってあげます。
包丁を立てると、内臓(特に腸)に切れ込みが入ってしまいます。
腸の中にはなかなかの臭いがするチヌの消化物が残っており、うっかり身についてしまうと、臭いが身についてしまいます。内臓を出来るだけ破らないように、お腹から胸にかけて切れ込みを入れましょう。
ここでようやく、包丁を離し、手で内臓を引っ張り出します。うまくすれば、内臓がエラごとぽろっと取れます。
・血合いを洗う
血合いに切れ込みを入れます。一回だけでなく、数回切れ込みを入れます。
歯ブラシで血合いを磨き落とします。ここも臭いの元になるので、しっかり歯ブラシで磨き落とします。
・水気取り拭き
クッキングシートで表面とお腹の中を拭いて、水気を取ります。
ここまでが下処理となります。
〇三枚おろし
・一枚目のおろし
それでは三枚におろしていきます。
まずは魚の頭を左に向け、まな板の上に置きます。そして、カマと呼ばれる部分に出刃包丁で切れ込みを入れます。
次に、背中を開いていきます。まず、1切り目で皮を切っていき、尻尾まで皮を切ったら、尾びれの根本に縦の切れ目を入れます。
2切り目から背骨と身を分けるように、包丁を入れていきます。2切り目、3切り目とだんだん深く包丁を入れていき、最終的に背骨の真ん中の脊椎まで、背骨と身を分けるようにして、包丁を入れます。
この時左手は身を開ける側に力をかけるのがコツです。
脊椎まで切れたら、背側から腹骨(肋骨)と脊椎の接続部を切ってしまいます。切る時は包丁を立て、刃先で切るようにします。
魚を回転させて、今度は腹側を開いていきます。1切り目は皮を、2切り目以降から背骨と身を分けるように、包丁を入れます。
脊椎まで包丁を入れれば、半身が切り分けられていると思います。
頭の下(喉らへん)の脊椎を切っておきます。この時、無理くり切るのではなく、骨と骨の継ぎ目に包丁の先端を入れると、簡単に切れます。
魚を上下反対ひっくり返してから、カマの部分に切れ込みを入れ、頭を落とします。
半身もおろすのですが、今度は腹の方から包丁を入れていきます。
反対側の半身と同様、皮を1切り目で切り、尾の部分に立てに切り込みを入れたら、2切り目以降で脊椎まで切っていきます。
魚を180度回転させ、背側の身に包丁を入れます。
脊椎まで包丁を入れ、腹骨を脊椎から切り落とせば、見事三枚おろしの完了です。
〇腹骨と腹膜の切り取り
ここで包丁を出刃から柳刃に持ち替えます。
下村工業 日本製 大門屋 景綱作 柳刃 包丁200mm 新潟 燕三条製
腹骨を取っていくのですが、この工程がチヌ捌きで一番難しく、腹の身(トロの部分)を残せるかどうかがかかってきます。
・中骨と腹骨との分割
まずは中骨と腹骨を切り分けます。
・腹骨の切り取り
次に右側から腹骨をすいていきます。この時、腹骨を1本ずつ身からはがすようにすいていくことがコツです。複数本の腹骨を一気にすこうすると、上手くいかずに腹身の部分をごっそり取ってしまうことになったりします。
また、腹骨は腹下までは伸びていません。下の点線まで包丁を入れたら、刃の向きを若干上にして、腹膜を切ります。
・腹膜を切り取る
こんな感じで腹骨を1本ずつすいていくと、下側に腹膜がのこります。
この腹膜も取り除くため、薄くスライスする感じで取っていきます。
また、写真の〇の位置の腹膜が残るので、V字に切って取り除きます。
〇中骨の切り取り
背側の身と腹側の身の間に中骨が入っています(下写真の点線の位置)。
次に左側を切ります。
〇皮引き
皮引きは腹骨をすきとる次に難しいです。包丁に力を入れすぎると、皮が切れますし、力を抜きすぎると、ごっそり皮に身が付いてしまいます。
また、包丁の角度にも注しなければなりません。この皮引きに関しては、経験しかありません。
回数をこなすことで、うまく皮が引けるようになります。
ちなみに、僕は右から包丁を入れていくスタイルでやっています。最近では手の甲を上に向けて、包丁を左から右に入れていくスタイルが主流のようです。
どちらのスタイルでも、かまいません。慣れた方、自分に合ったやり方で、回数をこなしてマスターしていけばいいと思います。
・背側の皮引き
皮を引くこつは、両手の連動にあります。右手は包丁の角度を調整し、刃はまな板に軽く付けて置く位の力加減にします。そして、包丁を上下に動かします。
この時、左手で皮を右に引っ張りながら、左手も上下させます。右手と左手の連動、両手の力加減の調整が肝心です。
結局上手く皮を引くには、やっぱり回数をこなして体に覚えさせるしかないのかもしれませんが・・・。
皮が引けたら、エンガワが身に残っているので、これも切り取ります。
皮引き終わりです。上手くなれば、皮ぎしの油がテラテラと光るような切り身が出来上がります。
皮目の赤がなんとも美しく、食欲をそそります(^^♪
・腹側の皮引き
腹側の皮引きは背側よりも難しいです。切り身が三角形になっており、尻尾側から包丁を入れると、皮を引き終える頭側の方が、面積が上下に増えるためです。
ここで、コツを一つ言っておくと、先に腹側の一部の皮を引いておきます。
そして、改めて尾側から包丁を入れていきます。引き方は背側の身と同じ要領です。
まあまあ、うまく引けたと思います。腹側は皮の銀色が残っている位になると、板前クラスのレベルなのでしょうが、まあ素人捌きなので、これくらいが限度かとも思います。
反対側の背側の身、腹側の身の皮も引けば、皮引きの完了です。
〇氷水で洗う
この工程は臭み取りの一環でやっている作業です。皮ぎしの油が匂う場合に行っています。
ちなみに旨味も逃げるので、あくまで身が臭い場合だけ実施している作業です。
・氷水に付ける
キンキンに冷やした氷水に1~3分付けます。
・水分拭き取り
クッキングシートで上下を挟み、余分な水分を拭き取ります。
〇刺身スライスと盛り付け
さあ、いよいよクライマックスです。まな板の近くににお皿を用意しておきます。
盛り付け方は人それぞれで、料理人それぞれのセンスが垣間見れる瞬間です。
・刺身スライス
一口サイズにスライスしていきます。この切り方やスライスする厚みについては、料理する人の好みによって十人十色です。まあ、自分で料理して自分で食べるので、こだわらなければ自由に切っていけばいいと思います。
ただ、1つ原則があり、「スジに対して、直角にスライス」しなければいけません。
この原則さえ守れば、皮側を上にしてスライスしようが、上下反対になろうが、自由だと思います。
後、柳葉包丁で切っていく際は、包丁を上下に動かして切るのではなく、包丁の根元から刃先まで全ての刃を使うように、一太刀でスライスするようにしょう。
ノコギリのように上下に包丁を動かすと、切断面が荒れ、食感が悪くなるためです。
・盛り付け
僕の場合は、身を一切れ切るごとに皿に刺身を移動させる盛り付け方をしています。参考にしてくれると嬉しいです。
空いているスペースにワサビを入れたり、下に大根のケンを入れたり、三つ葉を引いたり、盛り付けは美的センスも必要です。まあ、僕はそこまで見た目にこだわらないので、簡単にさらに刺身を置いていくだけの盛り付けにしています。
空いたスペースにワサビくらいは盛りますが・・・。
〇完成と実食
上では書いていませんが、同時作業で頭+カマを塩焼きしていました。刺身皿と醤油皿、塩焼き皿を合わせて机に置くと、完成となります。
今回のチヌはお腹に結構な量の脂(皮下脂肪)を蓄えていたので、身も脂が乗っていて非常に美味でした。また、臭み抜きの作業もやっていたので、まったく臭くなくぺろりと平らげる始末です(*´∀`*)
釣りに関しては、夏場の数釣りシーズンほど数が上がりにくくなってきましたが、味に関しては、どんどん旨くなってきています。是非チヌ嫌悪せずに食べてみてもらえると嬉しいです。